【第34回セミナーを開催しました】
11/11 石井慎一郎先生にお越し頂き
「脳卒中片麻痺患者に見られる動作パターン特性をバイオメカニクスから考える」を開催いたしました。
脳卒中患者の多くは同じような動作パターンを呈します。
「歩行速度や歩幅を制御するのが難しい」
「重心が股関節の前方に位置しやすい」
「外乱に対する姿勢制御の許容範囲が狭くなっている」などなど。
このような脳卒中患者に見られる特有のパターンをバイオメカニクスの視点からお話して下さいました。
姿勢、動作を変化させるには重力に適応するための抗重力伸展機能の改善が不可欠です。
それらはなぜ、どこから発生したのか、また解決するには具体的にどのような方法で、どんな手順で、どんな反応が出れば正常もしくは異常なのか。
座学はもちろん実技の説明も的確で具体的かつスッと理解できる!
時には受講生の身体を使って臨床推論を解説しながらのデモンストレーション。
こちらがもっとそこをもっと聞きたい、と思う部分はより深く、そしてイメージが湧きにくい部分は具体例をあげながらより詳細に。
1日のセミナーがまたたく間に終わってしまいました。
受講された方からは
「先生のセミナーの後はすごく興奮して、早く臨床で実践してみたくなる」
「シナジーの話など初めて聞く話なのにとても分かり易かった」
「やっぱり理学療法士はバイオメカニクスの話が一番腑に落ちる。職場の人達みんなに聞かせてあげたい」
などの声が寄せられました。
石井先生、アシスタントの重枝先生、江原先生、参加された皆さんありがとうございました!
他にも皆様のお役に立てるようセミナーを企画しています。
【講義内容】
今まで運動器疾患の治療やバイオメカニクスなどをテーマに多くの講習会を開催してきましたが,今回は「脳卒中片麻痺」に焦点を当てて,バイオメカニクスの視点から紐解いていくという新しいスタイルの講習会となっています.
なぜ片麻痺患者は起居動作や歩行で同じような動作パターンを選択してしまうのか.多くの説明では「痙性が…」「共同運動が…」と言われてきていたが,本当にそれだけなのか?
ぜひこの機会に脳卒中片麻痺に対する新しい視点を持って頂ければと思います.
本講習会では、バイオメカニクスという側面と進化のプロセスという側面で、ヒトの直立二足歩行について再考し、
そこで得られた知見から治療アプローチをどのようにしたら良いかを解説していきます。
ヒトが直立姿勢で活動するためには、
①脊柱のVertical ExtensionとCore Control、
②腰椎-骨盤-股関節複合体の対側性運動連鎖、
③下肢のVertical Extensionと体重移動、足関節戦略が重要となります。
脳卒中の患者さんに対して、これらの運動機能をどのように獲得させていくのか、
そのカギを握るのがリーチングです。
リーチング動作はヒトの基本動作の基本形であり、
運動を制御するために用いられるエングラムを発現させるトリガーとなります。
片麻痺の患者さんは、
セラピストが意図する好ましい運動パターンを自分自身で作り出すことが難しいという病態を有します。
そのため、各種動作の運動制御パターンをリーチングまたはそれに類似する運動課題で引き出すという誘導方法を使うのが効果的です。
実技講習で、こうした誘導の技術と問題点の抽出の方法、治療介入について修得していただければ幸いです・
【講師】石井慎一郎 先生
【所属】神奈川県立福祉大学
【資格】理学療法士 神奈川県立保健福祉大学 教授
保健医療学博士,BMTシニアインストラクター,ISMジュニアアシスタント,風の谷プロジェクトアドバイザー
【最終学歴・学位】
国際医療福祉大学大学院 保健医療学研究科 福祉援助工学分野博士課程・博士(保健医療学)
【専門分野】
筋骨格系理学療法学,バイオメカニクス,運動学
【研究テーマ】
変形性膝関節症の発症メカニズムの解明
基本動作の制御メカニズム
【主な所属学会・審議会等】
日本理学療法士学会
臨床バイオメカニクス学会
【主な社会・地域活動】
三浦市地域包括ケアシステムとリハビリテーションシステムの構築
主な論文・著書
【論文】
石井慎一郎(1989)前額面内下肢関節モーメントからみた変形性関節症患者の歩行パターン 日本臨床バイオメカ二クス学会誌
石井慎一郎(2008)非荷重時の膝関節自動伸展運動におけるスクリューホームムーブメントの動態解析 理学療法科学
【著書】
石井慎一郎(2006)骨・関節系理学療法実践マニュアル 文光堂
石井慎一郎(2010)基礎バイオメカニクス 医歯薬出版
石井慎一郎(2013)動作分析 臨床活用講座 メジカルビュー