【第34回セミナーを開催しました】
12/10 日本ボバース研究会 会長の伊藤克浩先生にお越しいただき「脳卒中患者とADL動作〜動作練習で身体機能を促通する〜」を開催しました。
麻痺側は誰が治療するのか?答えはいうまでもありません。
国から評価されるためにはADLを上げる必要があります。そこで、非麻痺側を強化して、ひたすらできない動作の練習を反復する。結果、非麻痺側の過剰な努力により半球間抑制がおこり、麻痺側の不使用は助長されます。
ADLはたしかに上がり病院と国は喜びます。
しかし本当に喜ばなければならないのは誰でしょう?
患者さんは麻痺側の回復を望んでいます。
完全に回復することは不可能な事が多いですが麻痺側上下肢や本来麻痺が無いはずの麻痺側体幹を使うチャンスを与え、麻痺側の回復を少しでも促していくのがセラピストの責務であると感じます。
今回はそのために必要な神経生理学、麻痺側からの寝返りや起居動作の誘導方法などを中心に実技をまじえてお話いただきました。
受講された方からは
「盛り沢山な内容でしたが、説明が非常にわかりやすかった」
「やれていなかったことが多くてとても恥ずかしいが、このセミナーのおかげでそれに気づくことができた。患者さんの可能性を追求できるセラピストになりたい」
などの声が寄せられました。
今回はハンドリングだけでなく急性期に働くセラピストが知っておいた方が良い「麻痺側からの動作誘導手順」や腹臥位での体幹エクササイズなど、教科書に載るべ内容をたくさんご提示いただきました。
より多くのセラピストがこのような方法を標準的に学べる学校教育実現のために当研究会も力を尽くしていきたいと思います。
伊藤先生、ご参加された先生方ありがとうございました。
【講義内容】
近年、回復期リハビリテーション病棟の基準に日常生活機能評価が用いられていること、
そして前回の診療報酬改定でFIM指数27以下の回復期リハビリテーション病棟に対する事実上の単位制限が設けられた事により、
麻痺側の機能改善を目指すより非麻痺側を積極的に使ったADLの自立を目指す動作訓練を
看護師のみならず療法士までが行っている施設もある。
その為、網様体脊髄路や前庭脊髄路といった両・同側性の下向路の損傷が比較的少なくて中枢部や姿勢調整、
そして歩行機能の潜在能力を持っていながら、その潜在能力が発揮されず、麻痺側や体幹の筋萎縮や弱化が進み、
回復の可能性があるのに十分な治療を受けられていない症例を目の当たりにすることがある。
療法士の養成校では脳卒中者の麻痺側への寝返り方法、麻痺側からの起きあがり方法をどの様に誘導するのかを教えていないところも多く、
またそのまま就職した先で回復期病棟であれば多くの新採用者がいて十分な実技指導を先輩や上司から受けられずに、
非麻痺側を強化するような動作訓練の繰り返しが続けられている現状もある。
結果、対象者は積極的に麻痺の回復に取り組む治療を受けること無く介護保険へとリレーされていく。
頸部骨折であれば患肢の可動域を可能な限り改善して筋力を強化し、そして出来るだけ病前の歩行状態を取り戻せるように理学療法士が機能改善に取
り組むであろう。
ところが脳卒中片麻痺者の場合は非麻痺側を強化してADLの点数UPが目指されるという理学療法で本当に良いのかもう一度考える必要があると思われる。
理学療法士が可能な限り麻痺側の機能改善に取り組まなければいったい誰が取り組むのであろうか。
このセミナーでは実技も交えて脳卒中片麻痺者の麻痺側の機能改善を目指すニューロリハビリテーションアプローチのうち体幹機能への介入と寝返りや起きあがりへの介入方法について紹介したい。
伊藤克浩先生
【免許・資格等】
ボバース成人中枢神経疾患国際インストラクター資格 (平成13年9月取得)
ボバース成人中枢神経疾患国際上級インストラクター資格 (平成22年5取得)
JADA(日本アンチドーピング機構)公認DCO(ドーピングコントロールオフィサー)平成16年3月神経系専門理学療法士(平成18年3月)
【役職・経歴】
山梨リハビリテーション病院 リハビリテーション部 副部長
(公社)日本理学療法士協会 神経系専門理学療法士
(公社)日本理学療法士協会職能業務執行委員会委員
一般社団法人 日本ボバース研究会 会長
疾患上級講習会国際インストラクター承認日本ボバース講習会講師会議教育委員会委員
活動分析研究会顧問
サッカーJ1ヴァンフォーレ甲府メディカルスタッフ(通院リハ担当)
日本リハ関連職種団体協議会(10団体)診療報酬改定部会委員
日本リハ専門職団体協議会(3協会)診療報酬委員