【第26回セミナーを開催しました】
今回は昭和大学病院の千葉慎一先生におこしいただき「肩複合体の評価が1日で分かるセミナー」を開催しました。
肩関節は難しい、苦手意識がある、そういったセラピストは少なくないと思います。
理由としては、
「肩関節は複数の関節が関わるから複雑」
「肩複合体だけで完結せず下肢、体幹の影響を受ける」
「個人差が大きい」
などがあるかと思います。
今回の千葉先生のセミナーでは、
肩複合体をどう診ていけばいいのか、評価を中心にお話していただきました。
肩甲上腕関節や腱板はもちろん、肩運動時の肩鎖関節における肩甲骨の三次元的な動き、
そしてその動きに伴い運動連鎖的に上肢と体幹、
そして下肢がどのように反応すれば良いか、具体例を挙げながらご教授いただきました。
また、実技では千葉先生が実際に臨床で用いてる様々なストレステストや肩だけでなくどの部位に問題点があるか絞り込むための評価の流れ、
それらに対するアプローチも紹介していただきました。
「問題点が明確であればアプローチはどんな方法でも良いのです」
様々なアプローチ法があちこちで言われている今、的を得た先生の言葉にハッとした方もいるのではないでしょうか。
受講された方からは
「苦手意識があった肩が好きになった」
「肩甲上腕関節ばかり気にしていて全身を見ていなかった。新しい視点を得ることができた」
などの感想が寄せられました。
当日の会場は、寒い長野の冬にまさかの暖房の故障というトラブルに見舞われてしまいましたが、
千葉先生の熱いお話と受講生の情熱により無事乗り切ることができました。
千葉先生、アシスタントの田村先生、受講された皆様ありがとうございました。
今後とも根治療研究会をよろしくお願い致します。
【講義内容】
肩関節の運動は肩甲上腕関節、肩甲胸郭関節、第二肩関節、肩鎖関節、胸鎖関節、体幹など複数の関節の共同作業として遂行されます。正常な場合、それぞれの関節がバランス良く機能することで一つの関節に負荷を掛け過ぎることなく肩関節運動が遂行されます。肩関節運動は複数の関節の共同作業であるため、ある一部の関節に機能障害が認められた場合でも、他の関節が低下した機能を代償または保障するため見かけ上は正常時と同じように肩関節運動を遂行することが出来ます。しかし、代償や補償を強いられた関節には徐々にストレスが蓄積し、本人でも気が付かないうちに障害を招いてしまう厄介な関節でもあります。このように肩関節の運動は複雑である故に治療が困難だと感じてしまいがちです。しかし、肩関節運動の特徴を理解しながら順序よく観察、評価することで問題を整理することが出来ます。今回は肩関節に対する評価の一連の流れを実技を中心にご紹介したいと思います。
1.なぜ壊れるのか?
2.肩関節の運動機能
3.肩関節の評価
1)病態診断(疼痛誘発テスト)
2)機能評価
(1)肩甲上腕関節の運動機能と評価
(2)肩甲胸郭関節の運動機能と評価
(3)肩鎖関節と胸鎖関節の運動機能と評価
(4)体幹の運動機能と評価
(5)下肢の運動機能と評価
千葉慎一先生
理学療法士
日本体育協会公認アスレティックトレーナー
読売巨人軍で専属トレーナーを務めたことがある理学療法士。肩関節疾患の理学療法を専門としており、一般からスポーツ選手まで幅広く肩関節疾患を診ている。
また、肩関節についての講演・執筆・研究など多数あり。全国的に活躍しているセラピストである。
【経 歴】
平成元年 岩手リハビリテーション学院 卒業
同 年 盛岡繋温泉病院 入職
平成4年 昭和大学藤が丘リハビリテーション病院 入職
平成7年 東京読売巨人軍入職(トレーナー部)
平成10年 昭和大学藤が丘リハビリテーション病院 入職
平成23年 昭和大学大学院修士課程 進学
【執 筆】
「腱板断裂に対する保存療法としての理学療法」整形・災害外科 2007年9月号
「肩甲胸郭関節に着目した肩関節の評価」月刊スポ-ツメディスン2011年4月号
「五十肩を理解する可動域制限-制限因子の評価-」関節外科2011年11月号
実践アトラスでよくわかるスポーツ外傷・障害診療マニュアル 2005年1月
骨・関節疾患の理学療法 2010年9月
復帰をめざすスポーツ整形外科 2011年3月 など多数