【第41回セミナーを開催しました】
6/3吉尾雅春先生をお招きして吉尾雅春の脳卒中症例検討〜画像からここまでわかる〜を開催しました。
「現象だけみて判断していませんか?」
吉尾先生からの問いかけでした。
同じグレードの片麻痺なのになぜ介入効果がでる人とそうでない人がいるのだろう。
麻痺側だけでなく反対側の失調や高次脳機能障害があって何から手をつけたら良いのかわからない。
このような時、介入方法を選択するために何を手がかりとしたら良いでしょうか。
リハビリは難易度の低いものから行うのが原則であり、それを積み上げていく事で潜在能力が引き出されていきます。
どんな事が低難易度なのかはその患者さん毎に変わってきますよね。
脳卒中患者さんの場合、どの動作や課題が低難易度なのかは動作をみて分析しただけでは評価しきれません。
脳のどのシステムに異常をきたしているのか。どのシステムを使う事が低難易度なのか。
画像を見てこれが分析できれば特殊なテクニックがなくても患者さんの心身機能を改善させることはそう難しくはないという事を教えて頂きました。
受講された方からは
「難しかったが、マスターしたい。コースで開催してほしい」
「動作分析も必要だが、画像から読み取り予測する力も必要。」
「勉強をおろそかにすることが患者への迷惑になることを痛感した。脳画像を読めるようになりたい」
などの声が寄せられました。
私達研究会スタッフも特殊なテクニックを学ぶのは好きですが、特殊なテクニックを最大限に生かす為には介入のポイントを絞り込む事が最も重要です。
脳のシステムを理解し、脳画像をしっかり読み解ければ、手に取るように患者さんの状態が把握出来るかもしれません。
そう簡単に取得できるものではありませんが、動作観察、分析、治療テクニックを磨く前に、マスターしておかなければならない事のように感じた1日でした。
【講義内容】
脳卒中症例検討「画像からここまでわかる」
千里リハビリテーション病院 吉尾 雅春
現象の受け止め方や障害の理解はセラピストによって千差万別、現象の分析は必ずしも客観的とは言えません。
そこに脳の画像が加わることでかなりのことが見えてきます。
基底核ネットワーク、
小脳ネットワーク、
視覚経路をはじめとする高次脳機能系、
姿勢制御系等、
脳をシステムとして捉えると、いろいろなことに気づきます。
現象の観察で気づかなかったことも、つまずいている脳のシステム障害の理解も、これからの可能性も、です。
脳画像はそれらのことを教えてくれるのです。
それが分かれば、自ずとアプローチは見えてきます。症例を通して、いろいろ考えてみましょう。
吉尾雅治先生
千里リハビリテーション病院副院長
医学博士
理学療法士
【略歴】
1974年 九州リハビリテーション大学校理学療法学科を卒業後、
中国労災病院勤務。その後、兵庫・大阪の病院で理学療法士として勤務
1988年~1995年 兵庫医科大学第一生理学教室研究生
1994年 札幌医科大学保健医療学部講師
1994年 大阪学院大学商学部卒業
1995年~2006年 札幌医科大学解剖学第二講座研究員
2002年 博士(医学、札幌医科大学 No.2089)の学位を取得
2003年 札幌医科大学保健医療学部教授
2006年 千里リハビリテーション病院副院長
2007年 死体解剖資格認定(厚生労働大臣 No.8105)
【専門分野】
専門理学療法士(神経 No.99-2-16、運動器 No.3-357、基礎 No.1-186)
認定理学療法士(脳卒中 No.3-13)
日本理学療法士協会 日本神経理学療法学会 代表運営幹事
学会運営審議員 および 元、脳卒中理学療法ガイドライン班長
理学療法ジャーナル編集委員
【著書】
脳卒中理学療法の理論と技術 改訂第2版(メジカルビュー)、
神経理学療法学(医学書院)、
運動療法学総論第4版 および 運動療法学各論第4版(医学書院)、
股関節のみかたとアプローチ(DVD、ジャパンライム) など多数