TKAはPTいらずの手術と言われています。
しかし、置換された関節のタイプにより特性は異なり、それに合わせたアプローチを展開することで効果は変わってきます。
具体的には、タイプによって関節運動軸や軌跡の特性は異なりROM時に考慮すべき事やターゲットになる組織も変わってきます。
TKAは大腿骨コンポーネントと脛骨コンポーネント、その間のインサート(脛骨側と連結)で構成されています。
屈曲可動性を確保するために生体と同様にRoll back motion(膝屈曲に伴う大腿骨の後方への転がり)が再現されています。
Roll back motionを誘導している代表的な組織は後十字靭帯(PCL)であり、このPCLを
①温存する
②切離する
のどちらにするかでTKAのタイプは異なってきます。
この異なる2つのタイプについて整理していきます。
① CR型(cruciate retaining) PCLを温存
特徴
・PCLは残存するので固有受容感覚は温存される
・生体のようにPCLなどの靭帯組織を中心にroll back motionが誘導
・インサートは平面状で関節運動を人工的に規定しない(関節自由度が高い)
・可動性は軟部組織の影響を受けやすく、関節運動の軸や軌跡は個人差が生じやすい
以上のように、CR型は人工関節ではありますがPCLを温存することで、その人が持つ本来の関節運動に近い動きを再現するのが特徴になります。
少し臨床的に考えてみますと、関節運動は軟部組織に依存するため術創周囲の柔軟性や関節運動の軸をなす靭帯組織、特にPCLや前十字靭帯(ACL)、内外側側副靭帯(MCL、LCL)の状態を考慮する必要があります。
多くの場合、靭帯組織のアンバランス等により関節の不安定性や軸のブレなどが生じやすく、一定の関節運動が再現しにくい状態になっています。
また、個人差もありますので、その人の関節軸や軌跡をイメージしながら徒手的に関節運動を誘導しROM拡大を図っていくことが必要となります。
これに対してPCLを切離するタイプのPS型(posterior stabilized)がありますが、その詳細やこの2つの比較は次回の投稿にします。
興味のある方は是非、次回も読んでみて下さい。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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