【肩甲帯を攻めてみる】
腱板断裂の患者さんが目の前に現れた時
「手術をせずに、きれいな挙上動作を獲得させてあげたい」と思うことはありませんか?
患者さんがどのような仕事をしているのか、どのような趣味を持っているのか、
という生活背景によっては、もちろん手術が必要な方もいます。
しかし、腕を酷使しない方が日常生活で上肢を使えるようになるための手術は「不要なことが多い」です。
実際にある医師が「腱板断裂の9割の患者さんは手術が必要ありません」と言っているのを学会で聞いたことがあります。
しかも、彼は肩の手術をバリバリやっている医師です。
それだけ私たちセラピストは期待されていて、実際に結果を出せているセラピストがいるということだと感じました。
そのような医師の期待に応え、患者さんの挙上動作を獲得するために腱板断裂の後、私たちはどう対応したら良いのでしょうか?
これだけやれば良い、という正解はありませんが、答えはいくつかあるはずです。
その一つに「肩甲帯の柔軟性をきっちり評価・介入する」という方法があります。
腱板断裂後の方の挙上動作と言えば肩甲帯が代償的に挙上してしまうshrug signが目に浮かぶかと思います。
見た目は肩甲帯が動きすぎてしまっているため、肩甲帯を良い位置に固定したくなりますよね。この発想は間違ってはいないのですが…
だからといって肩甲帯を固定するための筋の筋トレをしてもうまくいかないケースがほとんどです。
実際には肩甲帯周囲筋の筋緊張を整える、というプロセスにて肩甲帯の柔軟性を改善させると、shrug signが良くなる方がいます。
どの肩甲帯周囲筋の問題もshrug signの原因になりえますが、中でも前鋸筋をみてみると良いと思います。
前鋸筋は肩甲帯の中でも最強の筋ですので、ここが崩れていたらあまり良くないわけなんです。
脳卒中の方も意外とこの辺りがポイントだったりしますよ。
明日の臨床も試行錯誤していきましょう!
次回は腱板編を予定しております。
是非ご活用ください。
【講義内容】
肩関節は身体の中で最も複雑で難しいというイメージがある関節かと思います。
しかし実は肩関節も「ロジックに介入できる」関節です。
肩関節は身体の中で最も自由度の高い肩関節ですが、5つの関節で構成され複雑に絡み合う筋によってコントロールされています。
これらを機能的な要素に分解して個々の評価をする事でロジカルに考えていくことが可能です。
今回はその中でも肩甲帯に焦点を絞ってお話致します。
評価に関しては解剖学的な特徴から割り出した臨床で使いやすい簡便な評価方法をお伝えします。
また、肩甲上腕リズムを深掘りして、肩甲骨は肩甲上腕関節に対してどう機能しているのかということも解説していきます。
介入は徒手だけでなく運動療法や徒手+運動療法を紹介します。
運動療法はどこを狙うかがポイントとなってきます。徒手と違い、方法とポイントを「知っていれば」あとは上手に患者さんにきっちり伝えることができれば効果はでます。
もちらん自主トレとしてもそのまま使えるため、有用なツールだと考えています。
今回の講習会は
「肩へのアプローチに不安がある」
「肩をこれから勉強したい」
「肩甲帯がいまいち評価、介入できないできない」
そういった方のお役に立てればと思っております。
唐木大輔
【経歴】
理学療法士
BiNI Complex Japan FLOWERING修了
Spine Dynamics療法セラピスト上級認定資格
【著書】
「運動の成り立ちとはなにか(編集:舟波真一、山岸茂則)」に一部執筆
2015年発刊の「BiNI Approach(編集:舟波真一)」に一部執筆
伊藤清悟
【経歴】
出身校:茨城県立医療大学
理学療法士
BiNI Complex Japan GLOWING修了
Spine Dynamics療法セラピスト認定資格